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スピーチのテーマは「60歳以上の熟年世代はどのように生きていけばいいのか」ということです。私も含めて皆さん方も、いずれは第一線を退かれる日が来ます。引退後の20年30年間を人間らしく威風堂々と輝いて生きていくこと、生きたなという達成感が人の生きざまとして大事です。
私はテレビに関係していますが、世の中のご婦人から叱責されたことがあります。怒られたのはニュースの見出しの問題でした。「67歳の老婆、クマに襲われる」「65歳の老女はねられる」…などです。怒りのホコ先は「どうして67歳が老婆なの。65歳で老女なの。私たちの世代を年寄り扱いしないで。私たちは熟女なのです。」ということでした。
最近のニュースでは、68歳の老婆とは言わず68歳の女性、男なら65歳の男性という表現に変わっています。テレビでは年齢層を総称する老婆とか老女といった昔ながらの表現はタブーであり、死語になりつつあります。こうしたご婦人たちのクレームはひとつの社会現象であり、熟年世代の意気込みといいますか、存在感をひときわ際立たせたものとも言えなくもありません。
ある大手広告会社は50歳以上をエルダー世代と総称して、シルバーである65歳以上をエルダー本格期、これまでどちらかと言えば右カタ下がりの人生とされてきた人々が、もうひと花咲かせる高揚期に転じたと位置づけています。
人間(ひと)は必ず老衰期を迎えますが、その前の熟年時代、特にエルダー本格期をいかに充実させ、長く維持することができるかが、尊厳に満ちた人生を過ごす上で一番大事になると実感しています。この時期をどのように生きるか、どのように生きるべきかという毅然とした目的意識をいかにして持つかということが問題となります。では、どうすればいいのでしょうか。
私はアメリカの詩人サミエル・ウルマンの「ユース 青春とは」という詩を思い出します。
青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
人は信念と共に若く 疑惑と共に老ゆる。
人は自信と共に若く 恐怖と共に老ゆる。
希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる。
私はウルマンの指摘する若さを保つ「信念・自信・希望・探究心」を念頭に歩んできました。熟年時代を有意義に生きるためには、こうしたウルマンの詩の精神が必要になってきたと思います。
先日、イタリアへの熟年旅と称するツアーに参加してきました。私が先輩の話をして、エルダー世代を生きる上での三原則「風邪ひくな、転ぶな、義理を欠け」を紹介しますと、ある金持ち風の女性から「もうひとつの三原則。小カネを持ち、友達を持ち、何よりも健康」がこれからの熟年世代の標語よと言われました。この調子だと女性はますます長生きし、強くなる。熟年世代を対等に生きていくためには、男も頑張らなくては、というのが私の感想でした。
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