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9月に入会を認めていただきました福島県信用保証協会の渡邉です。
私は、地方行政に長く携わって来ましたが、3月に県を退職するまで「うつくしま未来博」にもかかわって参りました。そういうことから、少し遅くなりましたが、この場をお借りしまして、皆さまの未来博に対するご支援・ご協力に改めてお礼を申し上げます。
この博覧会に対する評価については、いろいろな見方があると思いますが、私は、入場者数はともかく、その内容については、特に「自然との共生」や「県民参加」といったテーマは、これからの本県にとっても、極めて重要な政策課題になりますし、現に、未来博ではボランティアとして会期中8,000人もの人が、それぞれの立場で活躍していただいたことは特筆すべきことと思っています。そういうことも含めて、関係者の一人として満足しております。それではスピーチに入ります。
私は3年前、平成10年8月に「うつくしま未来博」への出展要請と福島空港の国際路線開設のため、中国と韓国に出張いたしました。今日は、そのときに遭遇した長江(揚子江)の大洪水と中国政府の対応(危機管理)について述べたいと存じます。
本県は、中国の湖北省と交流しておりますので、その中心都市・武漢を訪問いたしました。8月15日の午後3時頃に武漢空港に着きましたが、気温は37度〜38度くらい、しかも湿度が高く、大変蒸し暑い日でありました。ところが、時あたかも中国最大の河川、長江が6月以来の大雨で水位が上昇し、歴史的な高水位になり、湖北省等を中心に、各地で洪水被害が広がり、甚大な被害が出ていました。長江は名前の通り大きな河川で、長さ6,300kmくらいあり、南米のアマゾン川と同じくらいであります。私たちが伺った頃で、水位が通常より6m程高く、その状況が40日以上続き、大変危険な状況にありました。
この3年前の水害について、1ヵ月くらい前(11/6)の朝日新聞には、次のような記事がでていました。
「3年前(98年)の長江の水害の原因は、大雨に原因があるが、それだけではなく、上流の乱伐や過度の開墾が山の保水力を奪い、泥が川底に堆積して洪水の原因になったとして、中国のいくつかの省や市などで耕地などを林や草原に戻す事業を実施している…」との内容です。
話は戻りますが、武漢市でも「南西約70kmの地点で氾濫し長さ約40km・幅7〜8km程度の地域が水没している」と説明をうけました。
私たちも武漢空港から市内に向かう途中、道路の両側でかなりの広さで家屋が屋根まで水に浸り、水没している状況を見ました。これは、長江そのものの氾濫ではなく、長江の水位が上がったため、支川の水がのみ込めず、そのための氾濫であるということでした。
ご承知のように、湖北省は「千湖の省」と称される地でありますが、湖や河川が多いので、かなりの被害が出ておりました。中国政府の発表では、その時点で死者2,000人、家屋の損壊は1,700万戸といわれていました。
このような状況の中で、特に中流域の工業都市・武漢は「このまま放置すればさらに長江そのものの洪水による被害が避けられない」ということで、中央政府は上流の湖北省公安県内を指定し、いざという時にここの堤防を爆破し、長江の濁流を一気に流し込む計画を立てていました。これにより、約50万人の住民が強制的に立ち退きをせまられ、700万人の武漢市民を守るという計画であります。私たちが武漢に着いた日が、その最終判断を求められるギリギリの日で、江沢民国家主席も現地に行っておられたそうです。省高官の説明では、その時の水位が29m28、決壊の限度が29m55で、その差27cmという状況でありました。
帰国してからの報道では「武漢の上流約200kmの湖北省三州鎮など4ヵ所で、長江の堤防を人工的に破壊し、その結果、集落や田畑が泥水に沈み、330km2(福島市の半分くらいの面積)が水没、96,000人が非難した」と報じられていました。その時点で、三州鎮は深さ5〜10mの下に沈んだのであります。
私は、このような大洪水を実際に見て、また、省政府の高官から話を聞き、自然災害の恐ろしさと、森林の保全を含め、環境を守ることの大切さ、そして、それ以上に中国政府の対応の凄さに驚きました。
国情や国民の価値観の違いもあると思いますし、また、大都市・武漢を大災害から守らねばならないということはわかりますが、そのために犠牲となる被害地域の住民の理解をどのように得るのだろうか、非常事態の苦渋の選択ではあろうが、現在の日本では全く考えられないことと思います。
さて、このような危機管理にも関連して、考えさせられる大変な事件がありました。9月に起きた米国の同時多発テロ事件であります。この事件は史上最悪のテロ事件として、私たちにいろいろな大きな問題提起をしております。報復攻撃に対する是非・炭そ菌事件・日本のあり方等々、大変難しい問題であります。
1つだけ例をあげたいと思います。
長江の爆破計画と似ているところもありますが、報道によりますと、テロ事件当日、ペンシルベニア州の山林に墜落したユナイテッド航空93便には、緊急事態での判断として、空軍機が追尾し、当該民間機を撃墜する権限を与える大統領命令があったとされています。
もちろん、その実行はなく、その前に墜落してしまったのでありますが、このような時の対応、つまり「危機管理」としては、たとえ多数の乗客のいる民間機であろうとも、緊急事態としての対応をせざるを得ないとの判断であると思います。本当に考えさせられてしまいます。
本県には、原子力発電所があります。これまでの原子力発電所の事故を想定した防災訓練は実施して来ております。しかし、今回のような航空機によるテロ等は、その前提として考えておりません。今後は、極端なことを言えば、危険な事態がいつ発生するかわからないのであります。他人ごとではないのであります。しかも、それは是が非でも防がなければなりません。これを機会に、私たちも改めて、危機管理について真剣に考える必要があると思います。
この事件がそんなに簡単に解決するとは思っていませんが、それでも少しでも良い方向にいくことを願い、私のスピーチを終わります。
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