福島ロータリークラブ ≪年次総会≫
例会日:平成13年12月13日(木) 12:30〜 
例会場:ホテル辰巳屋8F 
会長あいさつ  三宅 喬 会長 
 去る12月8日、地区の人間尊重委員会が二本松市の“女と男の未来館”「男女共生センター」において開催されました。当日、当クラブでは新世代会議も行われたため私一人の出席でした。

 第一部は「男女共同参画社会」が今、なぜ必要なのかの説明がなされました。特に少子高齢化、国内経済の成熟等、我が国の急速な変化に対応していく上で男女が人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮し合える男女共同参画社会の実現が緊急な課題であると訴えられました。当クラブにおいても9月13日の例会でゲストスピーカーとしてお招きしました二瓶先生の話を思い出し、帰ってから読み直した次第です。

 第二部は芥川賞受賞作家の玄侑宗久先生が「玄の玄」と題して約70分にわたり講演されました。このなかで特に印象的だったのが、現代医学の進歩により遺伝子の解明が進み訓練次第では男が女にもなれれば女が男にもなれることに触れられ、今日の合理主義的社会に疑問を投げかけられ、江戸時代から伝わるキツネにとりつかれるという話を引用し、この摩訶不思議な考え方こそ豊かな時代の象徴ではなかったのかと強調されました。このことが玄の玄たるゆえんであり、あまり合理主義的な考え方より眠っている95%の遺伝子を活用することの方が重要なのではないかと言って話を結ばれました。

 男女が法律によって共同参画社会をつくらなければならないことも今日の社会情勢からいって大事なことかもしれませんが、男女が玄の関係の上に成り立つことも大切なことではないかと思い、大変感銘深く受講してまいりました。このような素晴らしい企画に感謝申し上げたいと思っております。

ゲストスピーカー紹介 紹介者 阿部 力哉 会員 
 本日のゲストスピーカーの竹之下誠一教授をご紹介いたします。

 経歴は鹿児島市のご出身で昭和50年3月、群馬大学医学部卒業後同医学部第一外科へ。講師・助教授を歴任し、現在は福島県立医科大学外科学第二講座教授としてご活躍なさっておられます。その間平成7年〜8年、米国がん研究所に留学。

 専門臨床分野は腫瘍外科・一般消化器外科・大腸肛門外科。
 専門研究分野は臨床遺伝子学・分子生物学。

 それでは竹之下先生よろしくお願いします。

ゲストスピーチ 『未来(4)』 福島県立医科大学外科学第二講座 竹之下誠一 さま 
「未来について語る」
〜ポストゲノムの時代における癌治療〜
 現在生命科学が急速に進歩しております。20世紀を原子力開発に象徴される物理学の時代とするなら、21世紀は生命科学と情報化の時代となるでしょう。Key Wordの第一はゲノムです。

 当初2005年達成を目標として、人間のすべての遺伝子を明らかにするために米国で始められたヒトゲノム計画は、ベンチャーの参入などにより、2000年6月にほぼ完遂いたしました。すなわちこの「ヒトゲノム計画」の完了宣言を契機に、我々はポストゲノムの時代に突入したのです。21世紀を迎えたばかりの現在、生命科学・生物学もまた新たな局面を迎えています。これまで専門化、細分化されてきた生物学の各分野が、ゲノムというキーワードによって再び統合されようとしています。人間に多型があるようにがん細胞にもそれぞれ個性があります。一つの治療法(手術、薬、放射線など)でがんを消滅させることはあり得ません。近い将来、個人の遺伝子の相違すなわち多型が明らかになり、従来漠然とした概念であった疾患感受性、環境反応性などを遺伝子のレベルで定量的に表現することが可能となってきます。したがって21世紀には、これまで集団を対象としてきた医学が、個人の健康の回復・維持を目指す「個の医学」へと変わっていくでしょう。

 ところで、ヒト全ゲノムの塩基配列決定は、ヒトゲノム研究の終わりではなく、新たな研究の始まりであるといえます。ポストゲノムでは、まだ機能のわかっていない遺伝子の機能を決めたり、その先のタンパク質の研究に重点が置かれることになるでしょう。すなわち、遺伝子を総合的に解析しようとする機能ゲノム学(Functional Genomics)や、細胞で発現している全タンパク質を一度に解析するプロテオミクス(Proteomics)が登場し、また、ヒトゲノム計画成功を支えたスーパーコンピューターをさらに利用した情報科学が発展し、生物情報化学(Bioinformatics)という新しい学問分野が生まれているのです。

 ここ数年、日本の生命科学の実力を軽んじた欧米人や、それに同調する一部の日本人は、我が国の技術を過小評価してまいりました。我が国には、半導体、微細加工、ロボット技術などずば抜けた実力があり、このどれもが直ちにゲノム研究に応用できます。しかも我が国でもやっと官民一体となって、21世紀の主役「ゲノムビジネス・バイオビジネス」に参入していますから、悲観する必要は全くありません。21世紀は生命科学の時代であり、私たちの日常生活は一変しております。ゲノム情報によって社会に無血革命がおき、ポストゲノムの時代に突入したのです。


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