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本日の新会員スピーチでは英国に長期勤務しました生活体験から、特に印象深くその後の意識に大きく影響しました3点についてご紹介します。
1.外国人に対するOPENな意識
英国は外国人に対する意識は日本と比べてOPENです。このようなOPENな姿勢は医療制度にも表れています。
私は1回目の英国勤務の時、ちょうど長男が生まれる直前でしたが急性盲腸炎に掛かり夜中に緊急手術を病院でしました。夜中、腹痛がし看てもらったところ、盲腸だと言われ近くの大きなRoyal Free Hospital(Freeは無料という意味)に連絡してもらい、お腹の大きな家内の運転でやっとのことで病院に着きましたが、看護婦たちは出産と思い一斉に家内の方に向かいましたので、私はお腹を押さえ「NO.!It's me」と叫び、何とか私が患者であることを認めてもらい無事手術を受けることができました。熱が下がらなかったことから点滴を打ち1週間以上入院しましたが、退院後のtake careを含め一切費用は掛かりませんでした。勿論、病院は大部屋で手術の前に5〜6人の研修生が来て代わる代わる私のお腹を押さえ、私がうめくと「典型的な盲腸の症状だ」と言う話が聞こえ、モルモットになった気分になりましたが、看護婦やスタッフの献身的なサービスには感動すら覚えました。このように、外国人に対する寛容なシステムや分け隔てない態度は英国の懐の深さを表していると思います。
2.家庭中心で誇りに支えられた職業意識
〇英国はおのおのが職業に誇りを持っており、日本のように生活上、会社名や肩書きを前面に出すことはしません。大切なのは地域の共同生活者としての協調性や地域貢献度合いです。仕事は生活の糧を得る手段との割り切った意識が強いことがその背景にあります。
〇この意識は仕事と家庭の関係でも日本と大きく異なります。例えば、英国人スタッフに残業を命じた時に、彼らが取る行動は家に電話して奥さんの了解をとることです。一部の上昇志向の強い人間は全く残業を厭いませんが、一般的には残業を嫌います。これは(1)家庭を大事にする(夕食は家族と一緒に食べる)考え、と(2)残業をする人間は要領が悪く能力がないと一般的に見られることが背景にあると思います。
〇このような家庭重視の姿勢は退職に対する姿勢にも顕著に表れます。つまり英国人はある程度の生活の糧を確保し一定の年齢に達すると早くRetire(退職)する傾向が強いです。まさにHappy retirementで体力がある内に退職し、その後の人生を楽しもうとするもので、家族、知人が皆祝福します。早くRetireできる背景として若い時から住宅税制の恩典で家を安く購入できることや、充実した年金・社会福祉制度等のインフラが整備されていることが大きいとも言えますが、日本では退職を皆が祝うことは余りないのではないでしょうか。
このような家庭中心の人間的な生き方や生活の糧を得るためにプロ意識を持って効率的に仕事をするという考え方をもっと日本人は取り入れるべきだと思います。
3.社会貢献への意識が強い人生観
〇英国人は人生観においても、自分の個性的な人生を歩みたいと思う一方、社会や地域への貢献を大事にする国民であると思います。その具体的な例としては、寄付であり、仕事で財を成した人は地域に何らかの形で地元に還元することが多いです。先ほど、盲腸の手術の話をしましたが、私が入院した病院の各病棟の名前は個人名になっており、これは地域の多くの人が寄付したもので大変感心しました。この社会貢献としての寄付は金額の多寡では無く、気持ちや姿勢の問題で出来る範囲で行えば良いわけで、例えば、英国ではいたる所に住民から寄贈された木製のベンチが置かれていますが、各ベンチには愛する人を偲んだメッセージがさりげなく彫られています。
〇また、英国人は自然や町並みの景観をみんなで守る意識が強く、National Trustのような自然保護運動に端的に表れていますが、英国内のどこを旅行しても美しい町並みには感心させられます。日本も自分の庭先だけではなく皆で共同して美しい町並みを守り、町全体の価値を維持し高めるという意識が高まれば、地域の活性化にもつながるのではないかといつも思っています。
〇この共同体意識は日常生活上の他人への思いやりといった行動にも強く表れます。その一例として「盲人の方のリレー」があります。混雑する中、白い杖をついた盲人の人を見つけると先を争うように周りの人が手を差し伸べ、自分が連れ立って連れて行ける所まで連れて行き、その場で「誰か盲人の人が目指す場所に行きませんか」と大声で叫ぶとまた、何人かが救いの手を差し伸べるといった形でリレーが続きます。このようなことは日本では余り考えられないことであり、つくづく公衆道徳のStockの差というか、他人を思いやる懐の深さの差を感じざるをえません。
以上、英国生活で特に感心したことを3点述べさせていただきましたが、英国は小さな島国であるのにもかかわらず産業革命により世界の工場となり、強大な経済力を一時有しました。その後成熟国として経済が停滞した後、サッチャリズムの浸透により復活し「蘇る伝統国家」として日本では評価されていますが、むしろ経済面よりも先ほど申し上げた通り、英国人の懐の深さというか、「外国人に対し寛大で、家庭中心にプロ意識をもって仕事をし生活の糧を得ると共に、流行にとらわれないしっかりとした自分の人生設計を実行し、地域の住民として社会貢献をしながら、他人を思いやる余裕のある人生を貫く」−といった姿勢が21世紀を迎える日本人にとって参考にすべき点と思えてなりません。
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