福島ロータリークラブ【例会】
例会日:平成12年10月12日(木) 12:30〜 
例会場:ホテル辰巳屋8F 
スピーチ『米山月間にちなんで』《 わさびと初詣 》 米山奨学生 崔 京花 さん 
 初めて成田空港に着いた時のことを昨日のように覚えているのに、いつのまにか5年という歳月が経ちました。

 最初、日本語学校に入学した時は日本語が一言も話せませんでした。頼れる人もいない異国で自分の思ったことさえ人に伝えることができないのは、何よりも辛いことでした。それゆえ、悔しさのあまりにふとんの中で泣いたことも一度二度ではありませんでした。しかし、私の周りにはやさしい先生たちやホストファミリの家族がいてくれたからこそ何とか乗り越えることができました。

 それは私が日本に来て初めて日本人と迎えたお正月のことです。
 当時、東京の日本語学校に通ってた私は、ホストファミリのお誘いでお正月を一緒に過ごすことになりました。その時まで私は、日本人のお正月の過ごし方も知りませんでした。とても新鮮で、わくわくしました。ホストファミリのお母さんは、私を連れて明治神宮に行きました。山手線に乗って、原宿駅に着いたのは、夜9時ごろでした。だが、駅前から神宮までの道路はもう人の行列でいっぱいでした。鐘が鳴るまでまだ時間がありましたし、小腹も少し減りましたので、私たちは和食の店に入り、食事をすることにしました。お母さんは、日本の独特な料理だと言いながら、私に生まれて初めて食べるお寿司を注文してくれました。それはご飯に生のお魚を載せる食べ物でした。私は生のお魚を食べるなんて考えもしませんでした。お腹もすいたので遠慮なく、1個口に入れました。しかし、想像以上に美味しかったです。それで次をクリアした瞬間、思わず涙を出してしまいました。ビリッとした辛さが目に伝わってきました。辛いものが好きな私なのに、わさびには負けました。これが私とわさびとの涙の出合いでした。

 食事が終わって、私たちも人々の行列に加わりました。お母さんと日本のお正月についていろいろ話ながら、長いじゃり道を歩きました。人々の行列の動きはとても遅く、いくら経ったかわかりませんが、やっと神社らしい建物が見えてきました。神社の前には、たくさんの人たちが合掌し何かを願っていました。私も、人の真似をして、両手を合わせてから心から何かを真剣に願いました。それからお守りも一個買いました。

 その時はまだ、初詣ということがどうしても理解できませんでした。日本で5年間を過ごしている間にだんだん分かるようになりました。生活のテンポがものすごく速い日本で、忙しい毎日を送る日本人にとって、新しい年にいいことがあるように、無事に過ごせるように願うことはそれほど深い意味があったからだと思いました。

 あの初詣の日があったからか分かりませんが、私もこれまで何事もなく、無事に過ごしてこれました。今でも東京に行った時は、たまに明治神宮を訪ねて願っています。

新会員スピーチ「ロータリアンとしての出発」 星野俊一 会員 
 このたび田中善六PGのご推薦をいただき、ロータリークラブに入会の機会を得、大変光栄に存じております。田中PGとの出会いは、小生が福島県立医科大学心臓血管外科における1993年当時の研究テーマ“人口心臓による生命維持治療”に関する高度先進医療を厚生省に申請した際に、学内倫理委員会のメンバーとしてご審議いただいた時でありました。のちにこの研究テーマは大学として、また東北地区として最初の高度先進医療の承認を受けました。

 もとより医療の本質は人間愛に基づく奉仕であります。アフリカにおけるシュバイツァー博士や野口英世博士にみるごとく、自己犠牲をも伴うような人間愛にあふれた奉仕が象徴的と思われます。この理念はロータリアンの綱領にも一致するものであります。古代医学におけるヒポクラテスはBC400年代に“医師の誓い”として、医療は身分や性別によって差別してはならない、患者を死に導く医術はとらない、教えを乞うものにはすべての知識をさずけなければならない、師を敬わねばならないなどと説いています。これはロータリアンの四つのテストにも相通ずる理念であります。小生は医師として、ロータリアンとして今後の生き方の道しるべとして再認識しました。

 日本は、1998年には女性84.01歳、男性77.16歳と世界一の長寿国となりました。しかし、1999年には女性は0.19歳延びましたが、男性では0.03歳短くなりました。この原因の1つとして年間2万2,338人の過去最多の自殺があげられています。いかなる事情はあったとしても現代社会のひずみが大きな要因であることは間違いないと考えられます。若年者にみられる非行、犯罪もまた同様であろうと思われます。ロータリークラブが立ち上がり、世直しに貢献することを期待するものであります。

 医学はいま大きな変革期に差しかかっています。現在の医療では救命、延命の技術は大いに進歩しましたが、今後の医療に求められているものはクオリティー・オブ・ライフの充実であろうと思います。単に長寿であることが最終目標ではなく、いかに健康状態を良好に維持するかが課題であります。増加の一途をたどる高血圧、糖尿病、高脂血症、脳硬塞、心筋梗塞などの生活習慣病はある程度、自己管理が基本であります。

 医療の現場では苦痛のない低侵襲性治療が取り入れられつつあります。入院期間の短縮も医療経済に益するものと期待されます。さらに遺伝子がすべて解明された次のステップとして、医学の治療体系が大きく変わることが予想されます。現在の医学がなし得なかった難病の治療も簡単に解決するものと期待されます。しばらくは現役の医師としてその変革を楽しみたいと考えている今日この頃であります。


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